■『歯科医院経営』2006年1月号

あなたは職人派それとも営業派

歯科医院を繁盛させるヒント集1

(有)売り上げ向上委員会代表取締役&開業医 青山健一

歯科医院経営2006年1月号

 今月号から、このコラムを担当させていただきます青山と申します。歯科医院の院長と、経営コンサルタントの代表という二つの顔を持っていますので、歯医者の立場から経営についてわかりやすくお話していきたいと考えています。

 皆さまとの接点は2ページですが、「この雑誌が送られてきたら、このコラムを一番読んでいるよ」といっていただけるように、頑張りますのでよろしくお願いいたします。


【"武士の商法"ではやっていけない】

 歯医者には、技術的な勉強が好きな職人的にな人と、経営的な勉強の好きなタイプがいます。人には向き不向き、得手不得手があります。それには、もって生まれた能力や、それまでに従事した職場の環境など、色々な要素があるとは思いますが、結果的には、その人に適した仕事と言うものがあるのです。

 今まで歯医者は、広告規制があり、営業的なことを考えなくても、どの歯科医院も十分な売り上げがあったので、歯医者の多くが職人的な人でした。といいますのも、職人的なタイプの人間は、ただ目の前の、技術や知識の向上を目指せばよく、学校の延長的な勉強をしていけばいいので、ある意味やったらやっただけの効果がでてラクなのです。そして、その評価は、同業者的なプロの目にしかわからなかったり、自己満足的なものが多くなったりします。

 一方、営業的な勉強というのは、学校で学んだりするわけではなく、独自のルートで勉強したり、体験的な要素が強かったり、ある種かけひき的な、心理学にもつながる、人の心の裏を考えたりしながら、行っていかないといけないので、ドロドロとした世界というか、暗いイメージもあります。

 技術的なことと反対で、営業的なことは同業者からは白い目で見られ、反対に患者さんから評価されれば、何と思われてもいいと考えて行われます。職人派の歯医者が武士ならば、営業派の歯医者は商人というイメージになります。

 できることなら、技術の勉強をすることだけで、大きな成果を上げたいものですが、世の中をうまく渡っていくためには、営業的な勉強をしていくほうが速効性も高いのです。技術と営業を、程よい割合でとり入れられる歯医者は、個人の歯科医として、これからも成功し続けられるでしょうが、技術的なことにしか目を向けられないタイプの人は、営業的なことは、誰かにサポートしてもらうか、組織的に誰かの下に入った方が、より自分の持ち味を活かせると思います。

 めっぽう強い武士も、経営的にイマイチならば、自分の苦手な経営を一から勉強するよりも、強くなることに専念して、経営は他人に任せるほうが、より力を発揮できる場合もあるでしょう。最終的には、自分のことをよく知って対応策を練ることが大切です。

【結果が伴わない人間のいうことは誰も耳を傾けない】

 今、私は同業者の歯医者からも評価され、私から何かを学びたいとか、知識を盗んでやろうという対象になっているのを感じます。私自身の知識や技術が向上していることもあるかもしれませんが、もっとも大きいのは、私が周りの歯医者がうらやましいと思う結果を残してきていることだと思います。

 私が開業後の赤字経営の数年間は、どんな立派ないいことをいっても、誰も私のいうことに耳を貸さないばかりか、負け犬の遠吠え的な見方をされていました。それが今では、私の話を貴重な話として聞いてもらえます。

 昔、何を言っても鼻で笑われていたことを思うと、感慨深いものがありますが、人間というのは結果を出さなければ、人から相手にしてもらえないものなのだと痛感しました。私自身も、以前雇っていた勤務医が何の実績もあげられないのに、口だけ達者で一人前のことをいうのを聞いていて、腹立たしさを通り越して、哀れにさえ思えたことがありました。

 これは同業者に限らず、スタッフに対しても同じです。スタッフに尊敬されたり、すごいと思ってほしいのなら、それなりの行動や結果を残していかなければ、スタッフもついてこないでしょう。

 経営者は、いい結果が出ている時は、チヤホヤされて持ち上げられますが、結果が伴わなかった場合には、誰も評価しないだけでなく、その人のやることが、いちいち批判されるものなのだと覚悟して、いい結果が出るまで頑張り続けるしかないものなのです。

【患者を逃がさない方法―接触回数を増やす】

 歯医者は保険請求の関係上、何度も患者さんを来院させます。このことは、患者さんの不満の原因の一つですが、逆にうまくやっていけば、患者さんを固定客にする大きなチャンスなのです。

 恋人になるために、一目ぼれということもありますが、多くの場合には、何度も何度も会うこことによって、情も湧き、相手の知らなかったいい点を発見することもできます。一目ぼれで、自分のことを好きにさせることができる男性は、ほんの一握りであって、そういう関係は熱しやすく冷めやすいので、案外早くに別れるものなのです。

 その点、時間をかけて築いた関係は、ちょっとのことでは簡単には崩れにくいものなのです。ただし、はっきりしない不自然な理由で、接触回数を増やそうとすると、相手からはストーカーのように思われて、逆に嫌われてしまいます。

 今の歯科医院の多くは、このストーカー行為をしているのです。患者さんはスケーリングのために、なぜ、何度も来院させられるのかを納得していません。根治しかりです。

 歯医者の都合、保険制度の都合などは、患者さんにとっては、知ったことではないのです。それは一方的に好きな男性側で、ストーカー側の論理と同じです。

 「スケーリングは一度で終えることはできますが、患者さんのためにわざわざ何回かに分けて治療してあげているのです」という説明がきちんとできれば、患者さんは喜んで来院され、何回かに分けてスケーリングしてくれることを、逆に感謝してくれます。


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