■『歯科医院経営』2006年4月号

自分自身の感性を磨くことが患者さんを惹きつける

歯科医院を繁盛させるヒント集4

(有)売り上げ向上委員会代表取締役&開業医 青山健一

本物を見抜く力が時間を有効にしてくれる

歯科医院経営2006年4月号

 近頃、日々感じることが「とにかく時間が足りない」ということです。

 自分が若い頃は「人間には平等に24時間与えられていて、その時間をどう使うかで人生が決まってくる」といったことを、いろいろな自己啓発書で読みました。「若い時には、時間はあるがお金がないけど、年をとってくると、お金はあってもお金を使う時間がない」という人の話も聞いたことがあります。

 今は、若い頃より仕事に関しては、少しは先の動きが読めるようになってきましたし、やらなければいけないことが無限にあり、とても自分の時間だけでは消化できないと、あせりが生じます。

 自分でいうのも何ですが、私は仕事の手際は早いほうで、常に効率を考えて仕事をしているので、けっして要領の悪い人間ではないのですが、とにかく時間が足りないと感じる毎日です。

 たとえば「メルマガ」や「ブログ」など、無料で役立つ情報もたくさん配信されており、書店では、読んでみたいタイトルの本がたくさん並んでいます。セミナーも同じです。今の私は、金銭的にそういうものの購入に躊躇することはなくなりましたが、いつも時間的に可能かどうかで悩んでしまい、たいていの場合には断念してしまいます。

 人を雇って人に任せたり、外注などで自分の時間を作り出そうと、いろいろ工夫はしているつもりですが、一向に時間的に余裕が持てないのです。そういう状況で感じるのは「何を選んで時間を使っていくか」ということです。

 無料メルマガで情報を集めることもいいのですが、中身が薄いと思えば、たとえ無料でも、購読を止めて時間を節約していかなければなりません。2チャンネルなどインターネットでは、人の興味をひくものが多く、簡単に多くの時間を浪費してしまいます。こういう時代だからこそ、時間を浪費しない管理をきちんとして、何に時間を割くかという、本物をかぎ分ける力が、その人の将来を決めているようにも思います。


患者満足---あなたがしてほしいことを患者さんにすること

 来院された患者さんが、満足して帰られたかどうかは、経営者としてはとても気になることです。かといって、全員に感想を聞くわけにもいきません。

 その上、人それぞれ考え方は違いがありますから、全員に満足してもらうことは不可能です。ではいったい何を、どこまで頑張ればいいのか、それを判断する基準は何かと考えれば答えは簡単。「自分が患者だったらしてほしいこと」をすることです。あなたのしてほしいことを、患者さんにしてあげればいいのです。

 あなたが患者だとして、いろいろと話しかけてほしいタイプならば、いろいろと患者さんに話しかけてあげればいいでしょう。取って付けたようなお世辞なんて言わなくていいから、診療に集中してほしいタイプならば、一生懸命診療の説明だけしてあげればいいのです。

 人にはそれぞれ、自分に合ったやり方というものがあるのですから、他人がうまくいっているからといって、自分には向いていない方法を真似ても、けっしてうまくいかないものです。

 自分が「してほしいこと」を思いきりしてあげて、自分が「してほしくないこと」は絶対にしない、ということを守っていくことです。他人の評価を気にしているうちは、自分のしていることが不安で落ち着きませんが、成功体験を積んで、自分の尺度で考えられるようになれば、その不安が減ってきます。

 自分のものの見方や感じ方が、他の大勢の人と大きく隔たりがある場合には、この姿勢は当てはまりませんが、ほとんどの人間は、似たような環境で、同じような教育を受けて育っているので、自分がしてほしいサービスに、それほど大きな違いはないと考えていいでしょう。

 自分がしてもらって嬉しいと感じることは、貪欲に患者さんにしてあげて、自分がされたくないことは、敏感に患者さんにもしないことを繰り返しているうちに、あなたの感性と似た患者さんが集まってきて、あなたやあなたのクリニックのファンになってくれるのです。

先に投資するから回収する貪欲さが湧いてくる

 私は原稿を書くのは趣味のようなもので、思いついたことがあれば日々書きためています。絵の好きな人が、旅行先でスケッチを描きためるのと同じで、書きたいから書くというスタンスです。

 それは、頭に浮かんだことを消し去りたくないから書くのです。書く気持ちは同じでも、いくつかの書いた作品には大きな差がついています。スケッチにしても、作曲にしても同じことでしょう。

 できあがった作品の中には、自画自賛したいものから、捨ててしまいたいものまであります。プロの歌手なら自画自賛したい作品はシングル発売し、あまりパッとしない曲はアルバムに入れるという使い分けもできます。しかし、自分でイマイチかなと思った内容が、読者には好評だったりすることもあり、第三者の目が必要なことも多々あります。

 一般的に、役立つ情報を得るためには、セミナーにしても本にしても、先行投資としてお金を払うから、一つでも役立つ情報を得て元をとるぞ、という気持ちになります。タダで得た情報やセミナーなどには、聞く側に貪欲さがなくなるから、得るものも少なくなるのです。

 私は新幹線での移動はグリーン車ですが、グリーン車に乗る以上は、ただ眠っていたのではもったいないので、「勉強するぞ」「いい原稿書くぞ」という気持ちで、思いきり原稿を書いています。

 世の中たいていのものは、気持ちの持ち方次第でどうにでも変わってくるのです。同じ授業を受けていても、1万円払った人間と、招待された人間では、気合の入り方が当然違ってきます。

 若い時には、どんどん自分に投資して、知識を吸収することです。いつもタダで何かを得るのが当たり前になってくると、先行投資という経営の基本概念が、その人の気持ちの中から消えてしまう危険性も秘めています。


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