歯科医院の過当競争に勝つコツ
歯科医院を繁盛させるヒント集5
(有)売り上げ向上委員会代表取締役&開業医 青山健一
仕事が増えると即決する能力が身につく
他人と話していてよく感じるのは、なんでこんなことが即決できないのだろうということです。
もともと、私も優柔不断なタイプで、決断力はあるほうではありませんでした。しかし、自分のクリニックを14年経営し続けているうちに、日々決断しないといけないことが多すぎて、重要でないと思えることや、どっちに決めても大差のないことは、即決する癖がついてきました。
というか、決断しないといけないことや悩むことが多くて、小さい問題は悩んでいる時間がもったいないので、その場で、直感的に決めてきたといっていいでしょう。その決断が正しいか、間違っているかはどうでもよくて、小さい問題について考える時間がもったいなかっただけです。
実際に、いくつかの問題を即決して物事がすすんでも、とくに何か困ったことも起きないので、ますます即決する癖がつくようになってきました。
決断が必要な場面の多くの場合は、どっちを選んでも大差がないことに気づいたのです。そして、本当に悩む価値のある問題だけを選んで悩むようになってきたにすぎません。
人間は悩みが多くなると、その中で一番の問題だけを悩み、その他のことはどうでもいい問題に思えてくるものなのです。たとえば、スタッフから辞めるといわれて悩んでいたときに、自分の大切な人がガンだとわかれば、スタッフが辞めることなどは、どうでもいい問題になってきます。
院長は、日々いろいろな問題を解決しながら前進していっています。クリニックが成長していけばいくほど、問題も増えてくるものなのです。
そんな時に即決できなければ、問題ばかり増えてしまい、とても時間が足らなくなってきます。即決する能力は、仕事が増えれば否が応にも身についてくるものなのです。
法人・大手クリニックの戦略と攻め方
大手には大手の経営の仕方があるし、小さいな所には小さな所ならではの経営の方法があります。
大手は資本力があるのですから、小さな個人経営ではできないことを推し進めていくべきだし、小さな所では家庭的な良さを前面に押し出していくしかないのです。
大手は多くのスタッフを抱え、大きいクリニックなのですから、急患が来ても待たせないで、手の空いている人が対応できますし、診療が手間取った場合は、次の患者さんを、その日だけ別の先生に診療してもらうこともできます。
また、スタッフが多くいれば、年中無休にしたり、夜遅くまで診療することもできるでしょう。患者さんのいろいろなニーズに合わせて、それをとことん追求していくことができるのは、やはり大手なのです。
人間はたくさんいると、自然と活気も出てきますし、安心感が出てくるものです。「赤信号みんなで渡れば怖くない」とか、長い列ができていると、何かわからなくても、その列に並びたくなるのが人情です。
「こんなに多くの人が診療に来ているのだから、きっと先生たちの腕がいいに違いない」
「これだけ受付の電話が鳴っているのだから、流行っているクリニックに違いない」
……など、患者さんというのは、自分のしてもらった治療の規準で、物事を判断するのではなく、周りの人間の反応によって、いいとか悪いとか決めることが多いものです。
ですから、法人の場合には、小さいクリニックではできない、流行っているイメージを全面的に“売り”にしていくべきでしょう。
個人クリニックの戦略と攻め方
歯医者のほとんどは、個人営業でこじんまりやっています。ラーメン店や美容院と似ているでしょう。一般的には、個人で大きいところに勝つためには、自分のキャラクターを前面に押し出して、攻めるしかありません。
開業当初は、気持ちも乗っていて、やる気満々で、借金も多くしているのですから、自然に、患者さんへの対応にも熱が入るものです。しかし、患者さんも少しずつ増えてくる、借金も減ってきたとなると、仕事に対する情熱も徐々に失せてきがちで、毎日の仕事が惰性に変わってきます。
夫婦でも、新婚当時の初々しい気持ちを永遠に持ち続ければうまくいくのですが、そんなことは机上の空論であって、人間とは良くも悪くも慣れがでてくるものなのです。「初心忘れるべからず」といいますが、完全に初めと同じ気持ちでい続けることは不可能なのです。
たとえマンネリになっても、患者さんが不愉快に思えるような対応や治療でなければ、他の医院に転院することもないでしょうが、人の心は移り気なものですから、とくに不満はなくても、途中で他の医院にでも行ってみようかなと思うことは、誰でも思っているものです。
個人の場合は、理想としては、常に初心を忘れないで治療にあたれば、患者さんはけっして他へ逃げることはなく、院長以外の人に治療をさせているクリニックよりも、断然有利であるはずです。
しかし、院長の気持ちがマンネリ化した時点で、物理的なサービスでは大きいところにかなわない以上、患者数は減少していきます。
自分の気持ちを鼓舞して新鮮にしていくためには、常に新しい目標を掲げてまい進するしかないのかもしれません。
本当に歯科医師の仕事が好きで、新しい理論・技術の勉強も続けられている職人気質の先生にとっては、これからは、小さくても強い歯科医院という安定した経営形態を求められるほうが、ベストな選択といえるでしょう。




