集客能力とは患者さんの信頼を勝ち取ること
歯科医院を繁盛させるヒント集6
(有)売り上げ向上委員会代表取締役&開業医 青山健一
集客能力は開業医の必要条件
開業しての数年間は、若くて体力も気力もあって働きたいのに、自分の医院に患者さんが来てくれないので、そのエネルギーが不平不満に変わっていきました。
今のニートやフリーターと違って働く意欲はあるのに、患者さんが来ないのだから働けないというジレンマがあって、他の医院にアルバイトに行ったりしたものです。
この時患者さんを治療するということ以上に、患者さんを集めるということの難しさに初めて気づいたものです。
いくら働く意欲があっても、患者さんがいなければ、何も仕事ができないのだと、当たり前ながら考えさせられました。
そして来る日も来る日も、どうすれば患者さんから評価され、来院してもらえるかということを考えていました。
それまでは、歯科医師という職業は体力勝負で、来院される患者さんを治療していき、治療技術や治療速度を上げていけば、売り上げも自然と上昇するものだと信じていましたので、患者さんがいない、働きたいけど働けないという状況になって、一体どうしていけばいいのか途方に暮れたものです。
普通の独立や起業においては、まずはお客さんを集めるということが最初の仕事で、独立当初にお客がいないということは当たり前の状況なのですが、歯科医院経営においては、患者さんは何もしなくても来てくれるものだと考えていた為に、いざ開業した後の閑古鳥が鳴く状況において、一体どこから手をつけていけばいいのか皆目見当もつかない状態でした。
勤務医として、研究者として治療に専念して治療技術の向上だけ考えることは許されても、経営者として患者さんを呼び込めない人は、開業医にはなれない時代になってきているのです。
学校では教えてくれない患者さんを呼び込む能力を、自分で習得していかなければ生き残っていけないのです。
歯科技術と売り上げ
私の周りでも、一生懸命セミナーに出て、技術の習得に、お金と時間をかけているにも関わらず、一向に患者さんが増えずに、経営的に大変な歯医者を数多く知っています。せっかく、真面目で勉強家の方なので、どうにかいい成果を上げて欲しいと思うのですが、そういう先生方は、根本的なところを大きく勘違いされているので、勉強しても、勉強しても、それに見合った成果が出てこないのです。
こういう勉強家の先生に共通していることは、自分はいい治療をしているのだから、いつかは患者さんもそのことに気付いてくれて、知り合いを紹介してくれると信じていることです。
自分からは、特にアピールしなくても、治療内容を見てくれれば、他の歯科医院よりも丁寧に治療しているし、材料もいいものを使っているのだから、きっと満足して喜んでもらえ、ドンドン新患を紹介してもらえると勘違いしているのです。
歯科医院対象のセミナーの内容レベルを、ただ治療するだけで、患者さんに実感してもらうことは、ほぼ不可能に近いことです。
歯科技術や歯科知識の勉強をすることは、今後治療を進めていく上での大きな武器になります。しかし、その武器は、歯医者の頭の中にあるものなので、セミナーに出ただけでは、患者さんは、その知識の有無を知ることはできないのです。
売り上げを上げるには、患者数を増やし、自費治療を増やしていかないといけません。その為には、セミナーに行ったこと、セミナーで学んだこと、勉強家であることをアピールしなければ、患者さんは貴方の頭の中を、覗き見るわけにはいかないのです。
従って、セミナーに出たり、歯科技術を勉強することと、売り上げを上げることとは、すぐに一致するものではなく、そこには勉強していることを売りにする、それなりのテクニックが必要になってくるのです。
患者に気に入ってもらうことと信頼されることの違い
開業してからの数年間、私は経営を起動に乗せるためにいろんなことを試みました。歯科医療もサービス業の1つと呼ばれるのだから、患者さんに気に入られようと、水商売の人たちがやっているようなサービスも取り入れたりしました。
例えば、会話した話は問診表の裏に書き留めて、会話の内容を何ヶ月後でも分かるようにしたり、患者さんにおべっかを言ったりして、気分よくなってもらおうと一生懸命努力しました。
歯科医院は、美容院からサービスを勉強するべきだと思い、治療の合間合間で、なるべく会話を持つようにもしました。
本当に患者さんの機嫌をとっているという感じで、とにかく気苦労が多く疲れました。しかし、そういうことをしたからといって、必ずしも、その患者さんが知人を紹介してくれるというわけではありませんでした。
当時は、顧客満足とは、いかに患者さんに気に入ってもらえるかということだと信じていました。
しかし、患者さんの多い今では、私はこんな努力は一切していません。
なぜなら、患者さんに気に入ってもらうことと、患者さんから信頼されることとは全く関係がないと気づいたからです。
患者さんは私に治療をしてもらいにクリニックに来ているのであって、私と世間話をしようと思って来院しているわけではありません。
私がおもしろい冗談を1つ言うよりは、私の実績を1つでも言って安心させてあげることのほうが大切なのです。
院長がしなくてはいけないのは、患者さんに気に入ってもらうことではなく、患者さんから信頼されることなのです。
患者さんからどうすれば信用してもらえるかということに知恵を使うのです。
異性に対してもそうですが、相手に気に入ってもらおうとすればするほど、相手はその人のことを軽く見て、信頼関係は築けないで、逆にバカにされてしまうのです。
歯科医院において、医師が患者さんから軽く見られれば、とても治療しづらくなってしまいます。
患者さんに気に入られる努力ではなく、信頼される努力をすればいいのです。




