スタッフを増員するときに考えるポイント
歯科医院を繁盛させるヒント集7
(有)売り上げ向上委員会代表取締役&開業医 青山健一
スタッフを1人増やすときの院長の給与
今までにスタッフの人数を1人増員する際には、いつも自分の給与がその分少なくなってきました。
今までよりも、スタッフ1人分の売り上げが出せるようになったから、1人増やそうかというのではなく、将来のために自分の給料は減るけど、1人増やして先行投資してみようという考えで今まで来ました。
そして一旦減った自分の給料を、元の額まで戻そうと一生懸命働いたり、知恵を振り絞ったりするから、クリニックは飛躍していくのです。
物事にはいつも先行投資があって、その後にリターンがあります。
正しい投資をしなければ、希望のリターンが望めないことも事実ですが、どうにか飛躍したいときには、まず自分がリスクを背負わなければなりません。
院長の給与がいくらであろうと、その給与に慣れてしまっていれば、それを減らすことはとても耐え難いものです。
特に院長の給与が100万円以下のときには、スタッフが1人増えて自分の取り分が減ると、将来的なことを考えるとかなり不安になって焦るでしょう。
しかし、この焦りができない努力や頑張りを引き出してくれるのです。
余ったお金で何かをしても、この緊張感は出てきません。
1度自分の手元に入った大切なお金を投資するのですから、面接や回収も真剣になり、一生懸命頭も体も使うのです。
この一旦自分の懐に入ったお金を投資できる能力や度胸で、将来的な伸びが大きく変わってくるのです。
スタッフが余るぐらいのメリット、デメリット
○活気がある
人は多いところに集まりたがるものです。デパートでも飲食店でも、ガラガラの所よりも、人の多い所が流行っています。これらはお客様が多い場合ですが、これがスタッフであっても、少ないよりは多い方が活気は出るのです。
○スタッフへの注意が分散する
夫婦で一緒に仕事をすると、夫婦喧嘩の頻度が高くなってきます。これは自分の注意することが、ある相手に集中してしまうので、お互いに、うっとうしくなってくるのです。一方、たくさんスタッフがいれば、ある人に注意しているのを聞いて、直接注意されていない人も、同じミスはするまいと意識できるものです。
1日に何度も同じスタッフに、注意していると、注意する方も、される方もストレスが溜まって、いつかは爆発して「辞めろ」「辞めてやる」のような、最悪の事態になりかねないのです。
そのスタッフ自体に多くの問題があれば、辞められることは仕方がないですが、意識が特定の人に集中せざるを得ない環境だった為に、いい人材を失ったのでは、とても勿体ないことです。
○心に余裕がある
毎日忙しく、人手が足りないぐらいだと、仕事に追われイライラして、ミスが出やすく、仕事が雑になりやすいです。人間は自分に余裕がないと、他人にも優しくしてあげにくいものです。ドタバタせざるを得ないぐらいに忙しいと、なかなか一人一人の患者さんに、十分な対応ができにくかったり、多少のミスは仕方ないという雰囲気になってしまうのです。
経営者としても、ギリギリの人数で運営している時は、スタッフが急病になったり、急に辞めることになったりすると焦ってしまい、リスク管理としては、スタッフに何か突発的なことが起きないことを、祈るような毎日になります。また、急いで採用したりすると、ダメなスタッフを採らざるを得なくなりますが、人員に余裕があれば、いい人が来るまで、時間をかけて待てるので、採用後にトラブルになることが少ないです。
保険的な意味合いで余裕がでてきます。スタッフ間でも、有給がとりやすくなったり、休みに対してはかなり余裕ができてくるので、スタッフからも喜ばれます。
○厳しくできる
今は少し厳しくしただけで、辞めてしまう人が多いので、経営者の方がなめられやすいですが、スタッフが多い時には、厳しいところを見せておいて、「辞めたいやつは辞めろ」というつよきの態度で接せれば、スタッフも簡単にはなめてこなくなるでしょう。
適正人数で、ギリギリまわっている時には、気を使って辞めないようにしないといけないですが、人数に余裕がある時は、厳しくした方いいです。その際、とても戦力になっている人間には十分気を使って、間違ってもいいスタッフの方が辞めていくようなことのないようにしないといけないです。
×無駄話をしてしまう
仕事がたくさんあれば普通によく働く人でも、仕事が減って、周りに人がいれば、つい無駄話をしてしまうようになるものです。これが仕事に追われて、人手が足りないぐらいなら、話をする暇もないのですが、エネルギーを余計なところに使ってしまうことになります。
×こちらの意向を正確に把握させられない
少人数のスタッフなら、特定の人に注意したり、上司の意向を伝えればすみますが、スタッフが多くなると、特定の人はきちんと理解していても、一部の人は誤解していたりすることがあります。そんな時、理解している人が、誤解していたり、理解していない人に教えたり、注意してくれることはあまり期待できません。
スタッフ間で、威張っているとか、でしゃばっていると思われたくないから、上司自らが出ていって、注意していくしかないのです。少人数だと、なるべく全ての人を同じようなレベルにしようと試みますが、人が多くなると、ダメな人間は、こいつはダメだという諦めのような気持ちで、育てようというより、早く辞めてくれるのを待つようになってきます。
×甘えが出る
人が多いと、自分がやらなくても、誰か他の人がやってくれるという甘えが出て、良く働く人間と、手を抜く人間が出てきます。人手がギリギリか、足りないぐらいなら、さすがに手を抜く人間でも働くようになるし、働く人間の方もイライラして注意するようになってきますが、余裕があるぐらいの時は、よく働く人間と、手を抜く人間に格差が出やすくなってきます。
×給与等、無駄な出費が増える
経営的に余裕がある時はまだいいですが、患者さんが少なくなってきたり、昇給、賞与の時期になると、経営者としては「あれだけ仕事が楽なのだから、安くても仕方ないだろう」と考え、スタッフとしては、「ここは給与が安い」と、考え方と立場の違いを痛感することになります。




