■『歯科医院経営』2006年11月号

経営感覚なしでは医院の運営ができない

歯科医院を繁盛させるヒント集11

(有)売り上げ向上委員会代表取締役&開業医 青山健一

歯科技術と経営センスのバランスが大事

歯科医院経営2006年11月号

 私が歯科医師として好結果を出せているのは、歯科技術と経営のセンスのバランスが他の歯科医師よりも、多少よかったからだと分析しています。

 私より歯科技術の優れている人はたくさんいます。
 そういう人達からすると、私が成功していることが、腹立たしいのは理解できます。

 野球のピッチャーで言えば、俺の方が速い球を投げられるのにとか、歌手で言えば、自分の方が歌がうまいのに、あいつの方が売れやがって……とかいう気持ちと同じでしょう。

 でも世の中はバランスが大事なのです。
 学校時代の評価のように、1つのことだけで競い合う訳ではないのです。
歯科技術は、周りより優れているのに経営センスのない人や、経営センスはあるのに売り込む歯科技術が未熟な人もいます。

 その2つのバランスがよければ成功できるのです。

 特に歯科医師の場合には、歯科技術でばかり競い合って、経営センスのない人が多いように思います。


お金儲けに後ろめたさを感じるような人の話はきかない

 セミナーにおいて、医療でお金を儲けるのは、いかがなものかということを言う先生がよくいます。
 そういう方は、自分こそは正しい医療でお金を稼いでいて、他の先生は、悪いことをしてお金を儲けているということが、心の根底にある言い方をされるのに気付きます。

 そういう、自分こそが正しくて、他人は全て悪という考えができるからこそ、自分はお金儲けがうまくても、何ら疾しく感じないのでしょう。
 私が危惧しているのは、若い真面目な先生方ほど、こういう先生の話を聞くと、自分の治療で自費治療を請求していいのだろうかといった、疾しい気持ちになったりしかねないかということです。

 そもそも、お金儲けを悪く言うタイプには二通りあって、お金の儲け方を知らないから悪く言うタイプと、自分がお金儲けのうまい人間だと思われたくないから、自分のことは棚に上げておいて、他人にはお金儲けを悪く言うのです。

 自分のお金儲けがうまいのをカムフラージュするために、若い先生の、お金に関する後ろめたさを増長するようなことを言う偽善者の話を聞くにつれ、本当にこの人は、よくもまあ、自分のことは棚に上げられるものだと呆れてしまいますね。

 年齢が進んでくると、そういうつじつまの合わない偽善者を見抜けますが、若い時には、素直に全てのことを受け入れようとしますので、こういう言葉に惑わされて、自分は苦しくても、安くていい治療をすることが唯一正しいことなのだと思い込まされて、勉強しても経営的に苦しい状態が続くということになってしまうのです。

 例え医療においてでも、お金をもうけるということは、決してやましいことではないと考え方を変えるのに、時間のかかる人も少なくないでしょう。

患者さんを説得できれば自費が増える?

 多くの歯科医師が勘違いしていることは、自費治療は心理学的手法を使ったりしながら説得するもので、説得力のある先生ほど、自費の売り上げが多いと信じていることです。

 しかし、私の行っている治療の説明では、一切説得力はありません。
 逆に私は、説得しないようにすることに意識を集中しています。

 殆どの先生は、そんなことを言う歯科医師にあったことがないでしょうから「それならば、なぜお前のところでは、自費治療の患者さんが多いんだ」と文句の1つも言いたいところでしょう。

 その秘密は、私は説得しなくても治療してくれる患者さんが、私のクリニックに相談に来るように「仕向けているから」患者さんを説得する必要がないのです。
 アトランダムの患者さんに説得して、治療してもらおうと試みたければ、当然、成約率は低くなります。

 しかし私は、治療する気持ちの強い患者さんだけに治療相談をするのですから、自然と成約率も高くなってくるのです。

 私の中には、成約しない人に説明や説得して疲れるぐらいなら、成約しそうな人にだけ説明して、残りの余った時間で他のことをしていたほうが有意義なのです。

 そもそも人間は、自分が興味のないことを、例え1日中説得されても絶対に買わないのではないでしょうか。
 例えば、私はダイヤモンドやヨットを、毎日説得されても絶対に買わない自信があります(笑)。

 私にとっては、興味のない人を説得するエネルギーがあれば、説得しなくても治療してくれる患者さんを集めるほうが、何倍も効率的なのです。
 この簡単な原則に気づいていない人が殆どなので、私にとって自費治療の患者さんを集めることはそんなに難しくないのです。


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