スタッフを上手に指導し、上手に付き合う法
歯科医院を繁盛させるヒント集12
(有)売り上げ向上委員会代表取締役&開業医 青山健一
人を導くことはできても教えることはできない
自分の子供、友達、スタッフに、自分が生きてきて気づいた教えやテクニックなどを教えようとしても、思うように伝わらずに、イライラしたり、さじを投げてしまった経験のある人は多いと思います。
今まで生きてきて、感じてきたバックボーンが違えば、喋っていることの受け取り方が違ってくるものなのです。松下幸之助や本田総一郎の子供が、彼らと同じような経営能力があるでしょうか。彼らも、口では我が子に、自分が経験してきた多くのことを、伝え教えていたはずである。
しかし、松下幸之助、本田総一郎のレベルになってわかることを、息子達のレベルに向かっていくら教えても、本当の真髄は正確に伝わることはないのです。
野球でも、イチローや松井が高校生にアドバイスしても、イチローらほどの才能や細かい分析力のない高校野球レベルの人が聞いても、本当にイチローらが伝えたい本質のようなことでなく、フォームなどの表面的なことしか理解できないものなのです。
山登りに例えれば、富士山しか登ったことのない人には、エベレストからの景色や環境などを話しても、登った人間同士にしか、理解できないことが多いのです。
社員教育にしても、本当にこちらが伝えたいことを理解できる人は、同じように苦労してきた人か、感受性の優れた才能のある人なのです。もし、こちらの思うように伸びる社員がいたとすれば、それはあなたの教育が素晴らしいのではなく、その人間の才能が素晴らしいのです。
勿論、それに気付かせるように導いたあなたの努力も評価しますが、そういう社員と出会えた幸運に感謝すべきです。
基本的に、人を自分が育てたということは、幻想であって、そういうスタッフは、貴方がいなかったとしても、どういう環境でも、今ぐらいの人間にはなった可能性が強いのです。
ですから、本当に思うようなスタッフに出会えた場合には、その縁に感謝する気持ちを持っていれば、相手の方も、もっと期待にこたえてくれるでしょう。
スタッフが辞めたくない魅力を作る
スタッフを入社させてせっかく戦力になってこれからという時に辞めていかれたという話をよく聞きます。特にドクターの場合将来的に開業を考えているのでこの医院から得るものがないとなるとさっさと辞めていく可能性があります。
適齢期で近々結婚を考えている女性が、結婚する可能性が低いと思えば簡単に男性に別れ話を切り出すように、スタッフは魅力のない職場なら辞めて他の職場に行ってしまう可能性が出てくるのです。
一言で魅力のある職場といっても、それは人によって考え方が違いますので貴方がいいと思うことをクリニックにどんどん取り入れていって、1つでも多く魅力のある職場にしていくことがスタッフを長く勤務させる為に大切だと思います。
例をあげれば、給与が周りのクリニックより少々高い、スタッフ同士の人間関係がとてもよい、休みが多い、有給がきちんと取れる、衛生士としてPMTCをきちんとしている、ドクターとして得るものが多い、勤めやすい・・・・・。
魅力のある職場と、甘やかして自由にさせることとは全然違います。スタッフに勝手なことをさせて長くいてもらってもクリニックにはマイナスになってしまいます。
私の基準は、自分のクリニックを辞めて他のクリニックに勤めた時に「やっぱり前のクリニックの方が勤めやすかったな」「前のクリニックの方が勉強になったな」など後悔するであろう医院でありたいと思っています。実際には辞めたスタッフはそう思っていないかもしれませんが、自己満足として「ここまでいい環境の職場は他にはめったにないよ」と思えるように1つ1ついいと思えることを取り入れていくことが大切なのです。
いい人間関係は作るのは大変でも壊すのは簡単
人間関係なんて、今現在いくらいい関係であろうとも、明日以降の事は、誰にもわからないものなのです。
毎日ラブラブと言いながら、愛し合っていたカップルが、大ゲンカをして別れる時にののしりあったり、離婚して、慰謝料・養育費などが絡むと、とにかく相手からできるだけ多くのお金を引き出そうとして、お互いに、思いやりのかけらもなくなってくるのは、よくあることです。
今までいい関係だったスタッフに対して、会社の経営状態が芳しくないので、減給させてくれ、ボーナスカットさせてくれと言おうものなら、多くの社員は不満を言ったり、中には辞めていく人間も出てくるでしょう。
人間関係は、築き上げるのには時間がかかるのに、壊すのは簡単なのです。
だからと言って、いい人間関係を作る必要がない、といいたいわけではありません。いい人間関係ができたとしても、それに甘えることなく、壊れやすいということを頭に入れて、適度の緊張感をたもちながら、相手のことを思いやっていかなければ、壊れてしまって後悔しても「腹水盆に返らず」なのだと知っておくべきなのです。
ガラスの製品は、壊れやすいからといって、飾って使わないということは馬鹿げていますよね。壊れやすいことを知っていれば、使う時にプラスティックより、慎重に気を付けて使うのと同じです。
人間関係は、一旦出来上がったからといって雑に扱わず、ガラスのように繊細なんだと思いながら、接していけば、結果的に、いい関係が長く続くのではないでしょうか。




