■なぜ自分の成功事例をわざわざ公開するの?

Q なぜ自分の成功事例をわざわざ公開するの?「出し惜しみするんでしょう?」


 まずは私が苦労して学んだノウハウを他の人(まして同業者)に公開する気持ちになったきっかけについてお話ししなければ、「この歯医者何考えてんの?!」「どうせノウハウの出し惜しみをするんでしょう!!」「大したノウハウじゃないんでしょう?!」など、変な目で見られてしまうことでしょう。

 これまでにもスタッフなどから「先生は歯医者用のセミナーをしたり、本を書いたりしないのですか」と聞かれても「何でわざわざスタッフでもない同業者に、苦労して勉強したことを教えないといけないの?」と答えていたぐらいです。

 試験勉強で自分が苦労して理解したことを、何の苦労もなく他人に教えたくないという気持ちと同じような感覚で「自分の中だけのノウハウとして貯めておかなきゃ、他のクリニックに教えていたのでは自分の歯科医院がはやらなくなるじゃない」という感覚でした。

 しかしそういう気持ちが徐々に変わってきたのは、最近よく送られてくるメールやDMで経営コンサルタントという方からの提案を見ていると、こんなことで医院経営が改善される訳じゃない、というような物ばかりでした。実際、私は医院経営がうまくいっていない開業後5年間で3社の経営コンサルタントにお金を支払いましたが、何の改善もされませんでした。それどころか、自分には経営のプロがついていても、売上げを上げることはできないのかとどんどん自信をなくしていってしまいました。コンサルタントの中にもピンからキリまであるのかもしれませんが、最近送られてきたDMやメールの内容は、以前私が受けた3社のものと大同小異という感じで、劇的に売上げが上がるとは思えないようなものばかりでした。こういう所と契約した医院は私が感じたような挫折感と敗北感を感じるのかなと思うと、私自身が成功した方法を教えてあげて助けてあげたい気持ちが強くわいてきました。

 特にこれから未来のある若い歯科医師には、私と同じような挫折感(敗北感)を味わって欲しくないと思っています。

 しかし私はやはり他の見知らぬ歯科医の先生よりも自分自身のほうが大切なために、どうしても思い切ってノウハウを公開する勇気が持てませんでした。

 そんな時に、いつもお世話になっている歯科医の先生が「知識というものは他人に教えることによって自分の中でもより使える形で整理され、人に与えることによって、又自分の中に新たな知識が入るスペースが出てくるんだよ」と言われ、晴天の霹靂で目から鱗が落ちる思いでした。

 私のノウハウを公開することによって困っている先生方が助けられ、その人から感謝される上に、自分に新たな知識が加わるのなら、結局人に与えているつもりが自分が与えられることになるのだと分かったのです。

 それに私には治療できる手は2本しかありませんし、全国全ての患者さんを自分のクリニックで診る訳にはいかないので、勉強熱心で真面目な先生のクリニックが十分流行ってもらえれば、私はこれ以上の患者さんを望んでも十分な治療をしてあげられなくなることにもノウハウの公開に踏み切った理由でもあります。

 とにかく私自身誰も患者さんの集め方を正しく教えてくれる人がいなくて、貧乏のどん底で悩み苦しんだ5年間はとても耐え難いもので、生きていくことさえ投げ出したくなるような、あんな思いは誰にもして欲しくないと切実に思います。

 私は自伝を書いて隠居するために「この会」をオープンした訳ではありません。これからも私は勉強し続けるためにノウハウを公開する会社を設立したのです。

 今まで成功すると1人でニンマリしていたノウハウを他の歯医者に公開することで喜んでもらえ、複数の人間でニンマリしたいからこれからも勉強し続けます。

 そして私を超える先生が続出し、私の方が与えることがなくなったら老兵は静かに去ろうと考えています。人間は他人から頼りにしてもらっているうちが花なのですから、十分世の中に貢献してから人生を全うしたいものだと考える今日この頃です。

 決して私は他人に与えるだけの善人ではありません。しかし情報を出し惜しみして、後ろ髪を引かれるぐらいならノウハウの公開などしていないでしょう。GIVE&TAKEでお互いに向上し合い、「出会えて良かった」とお互いに思えられれば、これに勝るモチベーションはないでしょう。今までの私の失敗が、多くの歯科医にがんばる勇気を与えられるのならば、私も本当に苦労してきてよかったと思います。


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