■「20代社員の使い方にはコツがある」まえがき

まえがき

 経営者は社員に働いてもらわないといけない。しかし、多くの社員はできれば楽をしてお金や休みがたくさん欲しいと考えています。この相反する立場の人間で会社を運営していくのですから、衝突はあって当然なのです。

 たとえば、経営者としては、汚いところの典型であるトイレこそ、他社よりきれいにして、お客様に、ここはトイレでさえ、こんなにきれいなのだと感動してもらいたい。

 しかし、社員としては、自分の家のトイレでさえ、そうじはしたくないのに、誰が使ったのかわからない会社のトイレそうじは、できるだけ簡単にすませたいというのが本音でしょう。

 また、経営者は会社が倒産してしまうと、家庭なども含め、自分のすべてを失う可能性が高いので、お客様に対しても自然に丁寧な対応になります。しかし、「私の給料は会社からもらっているのであって、一人一人のお客様に対して、媚びたりしたくないし、私には他にも雇ってくれるところはいくらでもある」と考えている社員もいます。

 経営者にとっては寝ても覚めても会社のことを考えていますが、社員のほとんどは会社から一歩外へ出れば、仕事のことは一切考えたくないのです。

 この一見、水と油の関係の両者が共同作業をして会社が構成されているのです。社員をうまく扱えない会社に、明るい未来はないのです。

 会社は経営者以上のスケールになることはありません。経営者がリーダーとしてどこまで成長するかに会社の未来はかかっているのです。

 生まれつき、リーダーや経営者になるために生まれてきた人間なんて、世の中には一人もいないことは断言できます。

 小学生ぐらいになると多少の個人差は出てきますが、これらは環境や性格によるもので、才能などと呼べるものではありません。人が集まれば誰かが指揮をとらなくてはならないので、たまたまワンパク坊主が指揮をとり、それに従う人間がいてなんとなくガキ大将のようになっていくのです。そのガキ大将も誰かに喧嘩でも負ければリーダーから従う方へまわったりします。

 世の中は「かごに乗る人、担ぐ人」と言われるように、役割が分担しています。全員がリーダーや経営者になったのでは、世の中はうまく循環していかなくなります。

 今までサラリーマンで従う立場だった人が、上司や経営者になったら何をしていいのかとまどうのが普通です。これはリーダーというものが、経験によって培われるものだからなのです。

 もちろん、同じような経験を積んだ人でも目的意識の低い人や感受性の鈍い人とでは、できあがる経営者としての結果に違いが出てきます。

 経営者として、松下幸之助や本田宗一郎のようなカリスマ性のあるリーダーになるためには努力だけでは無理でしょう。

 しかし、普通に合格点のとれるリーダーになるぐらいなら、目的意識を持って努力していけば可能なことなのです。

 人間関係において、絶対的に正しい結論なんてありません。

 私がうまくいっている方法が、他の人にとっては全然効果のないことだということは充分あり得るのです。

 それは、経営者や社員の性格、会社の規模、職種など環境がちがえば、方法論もちがってくるのです。

 最終的には「自分がして欲しいことをお客様や相手にもしてあげる」という思いやりの気持ちをお互いに持てる職場にしていくために何をしていくべきかを考えるためのヒントとしていろいろ書いてきたつもりです。

 この本から、一つでも多くのことを得て、自分なりの経営論を身につけて下さい。


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